人権侵害の蛇足付言 [生活/くらし]
毎日新聞 <無罪判決>広島の3人放火殺人で 「自白、信用性低い」
広島市西区で01年、保険金目的で母と娘2人を殺害したとして殺人や現住建造物等放火などの罪に問われ、死刑を求刑された元会社員、中村国治被告(37)=東広島市西条町寺家=の判決が28日、広島地裁であった。細田啓介裁判長は自白調書の信用性の低さを指摘し、「被告の犯行と認定するには合理的な疑いが残る」と無罪を言い渡した。最高裁によると、78年以降、1審(再審を除く)の死刑求刑に対し無罪判決が出たのは3件目。検察側は即日控訴した。
中村被告は01年1月17日午前3時ごろ、母で飲食店経営の中村小夜子さん(当時53歳)方1階で、小夜子さんを絞殺。灯油をまいて火をつけ、2階で寝ていた中村被告の長女彩華ちゃん(同8歳)と次女ありすちゃん(同6歳)を焼死させ、3人の生命保険金など計約7300万円をだまし取ったとして起訴された。
中村被告は、06年5月、別の詐欺事件で逮捕され、起訴後に放火殺人を供述、再逮捕された。裁判所は自白調書を証拠採用したが、公判で中村被告は起訴事実を否認。弁護側は「威圧的な取り調べで得た自白調書で証拠価値はない」と無罪を主張していた。
判決は、犯行状況の具体的な供述が不自然、不合理▽燃焼実験などの証拠や立証がない▽動機や犯行を決意した理由、経緯も不自然--などと自白調書を否定。「客観的な証拠との一致をもって自白を信用できるとすることは危険」とした。
細田裁判長は判決読み上げ後、「疑わしい事情は多くシロではなく灰色だが、クロとは断定できない。疑わしきは被告人の利益にという原則に基づき、冤罪(えんざい)を防ぐためにこの判決を下す」と付言した。【井上梢、福沢光一】
判決の内容そのものは首肯しうるものです。昨今の警察の高圧的な取調べによって引き出された容疑者の“供述”“自白”を以て証拠としていては、冤罪が次々に発生してしまいます。今の警察の取調べに対する警鐘と言えるかも知れません。
しかし私が納得出来ないのは、わざわざ裁判長が付言した内容です。被告人を犯人と疑っているが、証拠不十分だから無罪としたのだ、と付け加えている訳です。
検察側が控訴したとのことです。もちろん高裁、または最高裁の判断が被告人有罪となればそれに従うべきですが、一審段階とは言え、この裁判長の付言は、まるでちゃんと立証してこの被告人をきちんと有罪にしなさい、としか聞こえません。
判決は判決です。シロならシロとはっきり確定させれば良いのです。
控訴審や、場合により最高裁の判断で被告人のシロが確定した時に、この一審の裁判長の発言は人権侵害に当たらないのでしょうか。
限りなく疑っている。あくまでも証拠不十分だから無罪なのだ。本当はコイツが犯人ではないかとも思っている‥。
無罪を勝ち取っても、塀の中に入らなくて済んでも、一生被告人は後ろ指を指されながら過ごすことを強制されるのでしょうか。本当は犯人らしいけど、うまいこと逃げ切って無罪を取ったんだそうだ‥。
私はこの一審の裁判長の発言に大いに疑問を持ちます。







本事件の詳細について私は承知していませんが、どうやら「灰色無罪」の典型のようあり、こうした判決はごく稀にあります。
つまり裁判長は、「疑わしきは被告人の利益に」と言いたいが為にこういう表現を用いたのであり、いわゆる「冤罪」では無い事を強調したかったのでしょう。
確かに、こうした事は本来ならば判決理由の中で述べるべきであり(多分、明記されていると思いますが・・・)、わざわざ言い渡し後に付言するのが適切なのかどうかについては、議論の余地がありそうです。
by yokohamachuo (2008-02-25 00:06)
ご訪問ありがとうございます。
昨今の三浦和義元社長の報道を聞いていると、時に同じような印象を持つことがあります。
疑わしいけれど、実は‥。そして和美さんの血縁遺族のところに押しかけてアメリカで有罪となることを望んでいるコメントを取りに行きます。
日本の最高裁の判断をさしおいてアメリカで無理矢理始められてしまった裁判には抵抗を感じます。
yokohamachuoさんのご指摘通り、判決理由の中で述べられるのは仕方ないとしても、付言には納得が行かないので書いてみました。
コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2008-02-28 19:39)