医療以外の結果責任主義 [医療事故]
asahi.com 中国・昆明の高地トレで死亡 両親が日体大を提訴へ
中国・昆明で06年3月、高地トレーニング中に死亡した日本体育大学水泳部2年の男子学生の両親が月内にも、大学とコーチを相手に総額約9千万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こす。現地は標高約1900メートルで酸素濃度が低く、平地よりも選手の体に負担がかかるのに、「体調管理や救助体制が不十分で、安全管理を怠った」と訴える。高地トレでの死亡事故をめぐり指導側の責任が司法の場で争われるのは初めて。
高地トレは水泳や陸上などで取り入れられているが、一部の有名選手を除き、安全管理は選手や各指導者にまかされているのが現状だ。訴訟がスポーツ界の対策に影響を与える可能性もある。
訴えるのは、宮嶋武広さん(当時20)の両親の宮嶋猛さん(59)とまり子さん(53)=大阪府東大阪市。武広さんは日体大在学中に05年日本選手権の1500メートル自由形で2位に入り、北京五輪出場が期待されていた。
代理人の弁護士によると、武広さんは06年3月2日から雲南省昆明市で実施された日体大水泳部の強化合宿に、コーチ1人、学生9人と参加。翌4月の日本選手権を控え、心肺機能を高めるトレーニングを積んだ。高地での潜水はこの合宿が初めてだったという。
3月25日午後、50メートル2本の潜水などをした直後にけいれんを起こした。コーチと部員が人工呼吸や心臓マッサージを試みたが、約3時間後に病院で死亡が確認された。遺体は解剖されず、死因は「突然死」とされた。
高所での潜水は危険が伴うとされる。だが同部は合宿前に心肺蘇生法の講習を開くなどの対策をとらず、心臓の動きを正常に戻すため電気ショックを与える自動体外式除細動器(AED)を携行していなかったという。
代理人は、事故直前のタイムが普段よりかなり遅かったのにメニューが中止されなかった▽プールから引き揚げ後すぐに心肺蘇生が実施されなかった――といった部員の証言もあると指摘。危険性の周知▽体調管理▽救助体制の整備などの安全配慮義務を怠ったことが事故を招いたと訴える。
日体大広報課は「遺族には誠意を持って対処してきた。(法的措置について)現段階ではコメントできない」としている。日体大は事故後、合宿などでAEDの携行を義務づけ、学生や教職員らを対象に高地トレでの危機管理をテーマにした研修会も昨年11月に初めて開いた。
この訴訟にも医療事故と類似したものを感じます。
医療、ことに手術においては、そのメリットとともにリスクも説明の上、不確実な医療行為である手術を開始します。その結果が良ければ問題ありませんが、不幸な結果になると、結果責任主義をかざして医療者が訴えられます。時に刑事告発がなされ、時に有罪とされてしまいます。
本ニュース記事にあっては、水泳において日本選手権や五輪での活躍を嘱望されていた学生の身体に不幸な事件が起きてしまったということです。高地トレについては詳細はわかりませんが、トレーニングとして有効であり、一方でリスクも伴うという、医療と通じるものがあります。
そして結果として不幸な事態が発生してしまった時、遺族のやりきれない気持ちがどこへ向かうか。以前から書いて来たように、全ての人の人生の回りにあいている落とし穴にはまってしまった場合、誰かに責任追及、攻撃の鋒を向けてしまう気持ちがわからないではありません。
しかし、多くの場合訴えられた側はまず故意で殺害した訳ではありません。むしろ救命のためにその時出来た最善を尽くしています。
そしてその過程で最善の結果が得られなかったことを咎められます。
誰かを訴えて賠償金を取り、場合により刑事的に有罪とさせ懲役・禁固や罰金刑を科させて、本当に溜飲が下がるのでしょうか。「亡くなった家族が浮かばれる」のでしょうか。
そこをよく考えて頂きたいと思うのです。
もちろん明らかなミス、過誤があれば賠償請求は当然のことです。しかし昨今のニュース記事を読むとそうでない不毛な争議・裁判が眼についてしまいます。
医療事故における無過失補償制度の推進が一つの方向として出てきています。実は少し違和感を感じています。
患者側の理解を得ることが本来であり、この制度が仮に実現すると、本ニュース記事のような色々な範囲の全ての事故においても、それをカバーするシステムが必要ということになってしまいます。
多くの人間の社会的行為にあって、リスクのないことの方が少ないと思います。上記に書いた「人生における落とし穴」です。全ての落とし穴に無過失補償制度を設けること。それが現実的なのか、そもそも正しいことかどうか、少し疑問を感じているのです。
中国・昆明で06年3月、高地トレーニング中に死亡した日本体育大学水泳部2年の男子学生の両親が月内にも、大学とコーチを相手に総額約9千万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こす。現地は標高約1900メートルで酸素濃度が低く、平地よりも選手の体に負担がかかるのに、「体調管理や救助体制が不十分で、安全管理を怠った」と訴える。高地トレでの死亡事故をめぐり指導側の責任が司法の場で争われるのは初めて。高地トレは水泳や陸上などで取り入れられているが、一部の有名選手を除き、安全管理は選手や各指導者にまかされているのが現状だ。訴訟がスポーツ界の対策に影響を与える可能性もある。
訴えるのは、宮嶋武広さん(当時20)の両親の宮嶋猛さん(59)とまり子さん(53)=大阪府東大阪市。武広さんは日体大在学中に05年日本選手権の1500メートル自由形で2位に入り、北京五輪出場が期待されていた。
代理人の弁護士によると、武広さんは06年3月2日から雲南省昆明市で実施された日体大水泳部の強化合宿に、コーチ1人、学生9人と参加。翌4月の日本選手権を控え、心肺機能を高めるトレーニングを積んだ。高地での潜水はこの合宿が初めてだったという。
3月25日午後、50メートル2本の潜水などをした直後にけいれんを起こした。コーチと部員が人工呼吸や心臓マッサージを試みたが、約3時間後に病院で死亡が確認された。遺体は解剖されず、死因は「突然死」とされた。高所での潜水は危険が伴うとされる。だが同部は合宿前に心肺蘇生法の講習を開くなどの対策をとらず、心臓の動きを正常に戻すため電気ショックを与える自動体外式除細動器(AED)を携行していなかったという。
代理人は、事故直前のタイムが普段よりかなり遅かったのにメニューが中止されなかった▽プールから引き揚げ後すぐに心肺蘇生が実施されなかった――といった部員の証言もあると指摘。危険性の周知▽体調管理▽救助体制の整備などの安全配慮義務を怠ったことが事故を招いたと訴える。
日体大広報課は「遺族には誠意を持って対処してきた。(法的措置について)現段階ではコメントできない」としている。日体大は事故後、合宿などでAEDの携行を義務づけ、学生や教職員らを対象に高地トレでの危機管理をテーマにした研修会も昨年11月に初めて開いた。
この訴訟にも医療事故と類似したものを感じます。医療、ことに手術においては、そのメリットとともにリスクも説明の上、不確実な医療行為である手術を開始します。その結果が良ければ問題ありませんが、不幸な結果になると、結果責任主義をかざして医療者が訴えられます。時に刑事告発がなされ、時に有罪とされてしまいます。
本ニュース記事にあっては、水泳において日本選手権や五輪での活躍を嘱望されていた学生の身体に不幸な事件が起きてしまったということです。高地トレについては詳細はわかりませんが、トレーニングとして有効であり、一方でリスクも伴うという、医療と通じるものがあります。
そして結果として不幸な事態が発生してしまった時、遺族のやりきれない気持ちがどこへ向かうか。以前から書いて来たように、全ての人の人生の回りにあいている落とし穴にはまってしまった場合、誰かに責任追及、攻撃の鋒を向けてしまう気持ちがわからないではありません。
しかし、多くの場合訴えられた側はまず故意で殺害した訳ではありません。むしろ救命のためにその時出来た最善を尽くしています。
そしてその過程で最善の結果が得られなかったことを咎められます。
誰かを訴えて賠償金を取り、場合により刑事的に有罪とさせ懲役・禁固や罰金刑を科させて、本当に溜飲が下がるのでしょうか。「亡くなった家族が浮かばれる」のでしょうか。
そこをよく考えて頂きたいと思うのです。
もちろん明らかなミス、過誤があれば賠償請求は当然のことです。しかし昨今のニュース記事を読むとそうでない不毛な争議・裁判が眼についてしまいます。
医療事故における無過失補償制度の推進が一つの方向として出てきています。実は少し違和感を感じています。
患者側の理解を得ることが本来であり、この制度が仮に実現すると、本ニュース記事のような色々な範囲の全ての事故においても、それをカバーするシステムが必要ということになってしまいます。
多くの人間の社会的行為にあって、リスクのないことの方が少ないと思います。上記に書いた「人生における落とし穴」です。全ての落とし穴に無過失補償制度を設けること。それが現実的なのか、そもそも正しいことかどうか、少し疑問を感じているのです。







食品の問題はないんだろうか・・・
中国でいうと・・・
この前韓国大使がサンドイッチで死にました。
by 中国語翻訳に人生を! (2009-11-04 11:44)
当事者からきいてないのでなんともいえませんが、ここでかかれたことだけでの印象です。
被害指数と加害指数だいぶあわないですね。被害指数かんがえたら訴訟は普通でしょう。「訴えるな」は被害者不在になってしまいます。
加害者指数でみたら、過失程度ですねえ・・・。事故後の努力はしてるようですよね。
民事では損害賠償請求にならざるを得ません。うちは損害賠償請求においこまれるのはわかるような・・・。
泣き寝入りになるもの。
損害賠償請求は民事で刑事罰はありません。犯罪ではありません。したがってやめる必要もないはずです。原告にはやめさすことはできないはずです。
うちも運動指導勉強したんですが、ノーリスクはありません。高地はリスクがたかく、コーチひとりと学生9人なんてこわくてできないです。計画が無理があると思えます。
校医のバックアップ・医療知識のある人の同行、全員に救急講習などがないと怖いです。
原告?いうにはすぐプールから引き揚げ後すぐに心肺蘇生が実施されなかったということですよね。
仮にそうなら問題ですね。心配停止なら直ちに心肺蘇生はしっていなくてはいけない常識です。なぜできなかったのか知りたいです。
加害者を重く罰するのが解決でないというのはうちもほんとそう思います。
なぜ損害賠償裁判せざるを得なくなったのか、訴えるなでなくそのあたりもかんがえてもよさそうに思います。
不幸にも加害者になった人にたいする配慮ももっといりそうですね。
by ayu15 (2009-11-04 14:24)
中国語翻訳に人生を!さん、ayu15さん、ご訪問ありがとうございます。
確かに中国の食べ物には少し不安がつきまといますね。ただ相当悪意を持って食事を提供するようなことがなければ、事故につながるようなことはない、と思いたいですが‥。このあたりは情報がないのでわかりません。
被害者に加害者を訴える権利は当然あると思います。後は司法が判断することなので、訴えること自体は非難されることでも、礼賛さrせることでもないように思います。
この後のニュースを入手出来ていないので、和解になったのか、加害者有責の判決が出たのか、はたまた被害者の訴えは退けられたのかわかりません。
私が一番この記事に関心を持ったのは医療事故と構造が似ているからでした。目の前の患者さんに医師が自分の考えるベストを尽くす。治療には必ずリスクが伴います。不幸な結果になった時に、医療行為を全て洗い出してこの時こうすればもっと良い結果になった蓋然性が高い、という無茶な判決が続きました。医療崩壊が叫ばれるようになって、こうした判決傾向にも修正傾向が出て来ました。
これをこの事件にそのまま当てはめるにはムリがあろうと思うし、被告がなすべき準備をしていなかったことも咎められるのかも知れませんが、私としてはつい被告の側で色々考えてしまいました。
いずれにしてもayu15さんの言われる通り、この事件の被害者側、医療事故にあっては患者側にのみ立った報道は考え直して欲しいと思っています。
コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2009-11-05 01:04)