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医療事故は、監禁暴行・警察怠慢の5倍悪い! [医療事故]

毎日新聞 足立監禁殺人 警視庁の捜査怠慢認定 東京地裁

小出亜紀子父.jpg 東京都足立区の新聞販売店従業員寮で04年1月、段ボールの中から小出亜紀子さん(当時24歳)の遺体が見つかった殺人事件で、小出さんの両親が東京都と加害者側に損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。生野考司裁判長は「警視庁が直ちに捜査していれば死亡前に発見できた可能性が高い」と捜査怠慢を認定し、請求通り2000万円の支払いを命じた。

 事件では、元朝日新聞販売店従業員の本間直人受刑者(28)と当時19歳だった交際相手の女(24)が小出さんを約1カ月監禁して暴行。04年1月に凍死させたとして、ともに殺人罪などで懲役13年の判決が確定している。

多摩中央警察署.JPG 判決によると、小出さんの母親は03年12月、警視庁多摩中央署に捜索願を出してトラブルがあった本間受刑者の電話番号や写真を渡した。死亡約2週間前には、小出さんが脅されたように泣きながら「もう電話をかけてこないで」と電話をしてきたことも伝えたが、同署は「事件性がない」と捜査要請に応じなかった。

 生野裁判長は「慎重に協議すれば、監禁の可能性が高いと判断できた。生命身体に対する切迫した危険性を容易に認識できたのに、捜査を一切行わなかった対応は違法」と指摘し、捜査怠慢と死亡との因果関係を認めた。

 捜査怠慢と被害者の死亡との因果関係を認めた判決は、神戸市の大学院生殺害事件(02年)の1、2審や、栃木県の会社員リンチ殺人事件(99年)の1審があるが、両親の弁護士は「警察の責任を全面的に認める判決で評価できる」と話している。【銭場裕司】

 ▽近藤守澄・警視庁訟務課長の話 主張が認められず残念。関係機関と協議し、今後の対応を決めたい。

毎日新聞 医療過誤損賠訴訟:常陸太田の医院で女性ショック死、約1億円で和解--地裁 /茨城

水戸地裁.jpg ◇病院側、過誤認める
 常陸太田市の会社役員の女性(当時68歳)が市内の病院で抗生物質の注射の後にショック状態となり死亡したのは、担当医が十分な問診を怠ったことが原因だとして、遺族が病院を経営する法人に慰謝料など約1億4600万円の損害賠償を求めた訴訟で、病院側が約1億円を支払う内容の和解が28日、水戸地裁(坂口公一裁判長)で成立した。
 女性の夫が昨年11月に提訴していた。訴状などによると、女性は06年3月、のどの痛みを訴えて同市の根本医院を受診した。院長の男性医師は急性上気道炎と診断。抗生物質製剤「セフォチアロン」を静脈注射後、女性は急性アレルギーで血圧が急低下するショック状態となり、約3時間後に死亡した。遺族側は、同製剤はショック症状を引き起こす原因になりうるもので、医師に問診を怠る注意義務違反があったと主張していた。
 病院側は遺族側の主張をおおむね認めていた。男性医師は「再発防止に努めたい」としている。【秋田浩平】


セフォチアロン.jpg極めて意図的に二つのニュース記事を並べました。
一つめの事件は過失ではありません。一人の女性を1ヵ月も監禁、暴行した上に、冬に凍死させたというひどいものです。凍死が純粋に過失ならともかく、遺棄または未必の故意による殺人だろうと考えられます。
そして家族の訴えに耳を貸さず捜査要請に応じなかった警察も一緒に咎められています。当然のことと思います。
そして、犯人と警察併せて2000万円を支払え、という判決のようです。

二つめの事件は医療事故です。ある一定の確率で抗生剤のアレルギー反応は起きます。以前は静脈注射前に皮内反応テストを行い、アレルギーがなさそうと判断されると静脈注射を実施していました。今では意味がないとされ、ショックが起きるとすれば、皮内反応でも起きてしまうと考えられて、皮内テストは廃止されました。その代わりに十分な問診を行うこととされています。

静脈注射.jpgこの事故では、その問診が不十分であったことを咎めて医療側に賠償を求めています。判決ではなく和解ですが、1億円の支払となりました。‥えっ、1億円?!

そもそも民事裁判というものは、全てをカネで解決するしかないために、原告・被告ともに結局満足の得られる解決策とは言えないとされ、このために裁判外解決などが図られて来ています。
しかし裁判に持ち込まれるとこうして金銭による損害賠償で解決を図る以外に道はないのが現実です。

仕方ないのでその損賠額で比較してみます。
24歳の女性を監禁、暴行、凍死させた事件で、それに対する損賠額が2,000万円
68歳の女性に抗生剤アレルギーによるショックが起き、注射前の問診が足りなかったとして、それに対する賠償額が1億円。

患者のための医療行為を考え選択、実行に移す前に問診が一つ足りなかった。もちろん無責などとは言いません。過失の誹りは免れないでしょう。
一方は、一人の女性の人権を蹂躙し、死に至らしめた故意犯による遺棄または未必の故意による殺人行為です。

前者の罪深さは後者の5倍ということですか。私には信じられません。
医師はその存在そのものが極悪非道であるとでもいうことでしょうか。患者のことを考えて行われる医療に、一つステップが抜けたという過失があって起きた不幸な事態は、医療以外で悪意を持って死亡させた事件の5倍もひどい行為だと言うのですね。

両事件の被害者の年齢を考えるとこの倍率はもっと上がるかも知れません。

これを正義というのでしょうか。
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コメント 4

Quri

こんにちは。
私の知識の範囲では人命に関する損害の算定は実質の損害、逸失利益、慰謝料の合計であったと思います。先生の挙げられた2件のうち足立区の殺人事件では記事の中に総額が見当たりませんが、おそらく1億円以上であると考えられます。また太田市の医療事故訴訟の記事では約1億円が認められたとありますが、これはおそらく全額でしょう。
さて、足立区の殺人事件で生じた損害の大半は加害者に責任があると推察されます。警察の捜査怠慢は重大なことですが、おそらく全損害の20%程度の責任と判断されたものでしょう。従って残りの額は加害者に賠償責任があるわけで、これは一応納得できます。一方太田市の件では総額の大きさもさることながら、また事件の詳細が報道されていない以上不明な部分もありますが、ほとんど100%に近い責任が病院にあるという判断がなされており、これは首を傾げます。これが妥当な額とするなら、不明な部分のなかに「それはあまりに酷い。およそ医者ならそんなことはしない。」というぐらいの事情があったとしか考えられませんね。でも実際はそうでしょうか。このあたりを報道はきちっとしてほしいものです。
 一般に損害額は過失や故意の程度にはあまり関係なく算定されます。不運な交通時事故で亡くなった人も、殺人に巻き込まれた人も損害の額はほぼ同じという事であったと思います。一方原因の中の責任の割合はちゃんと考慮され、交通事故でも無謀な飛び出し、殺人でも恨みを買って当然、などがあれば賠償額は減額されるようです。
 事件そのものが5倍ひどいという話ではないにしても、私も太田市の判決は、責任の割合について病院側に厳しすぎる気がします。また私とて亡くなられた方に他意はありませんが、先生の指摘されるように損害額そのものも高額に偏った算定と思えます。

by Quri (2008-11-10 13:00) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

記事の文面では、監禁致死事件の方は、損害賠償全ての合計が2000万円で、警察も一部負担せよという判決であるように読めました。これでは安すぎて、他にも当然請求できるようには思いますが、私もよくわかりません。

ご指摘のように、抗生剤アレルギーの問診が不十分であったことにより、患者死亡の責任を100%医療者に押し付けられるのが一番納得の行かないことです。
確かに何か感染・炎症があって抗生剤静注という医療行為が選択された訳ですが、患者は重症で放置すると死に至るような状況でなかったであろうと思われ、それが医療行為の結果死に至ると、感情的にこのような判決や和解になってしまうのでしょうか。

あまりに高額の損賠額が定着して来ると、もらった患者さんや遺族の人は良いのですが、米国同様医療保険が破綻してしまう、或いは保険料が払えず医療機関がなくなって行くという事態も起きかねませんね。

コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2008-11-10 19:35) 

まき

医療関係者です。
同感です。5倍は、逆です。1/5以下のはずですよね!
by まき (2011-06-02 11:53) 

筍ENT

ご訪問ありがとうございます。

そして古い記事にも拘わらずコメントをありがとうございます。私も書いてから日にちが経っており、自分でも忘れていました。改めて読み返してみて、ひどい話だと感じます。

まきさんのご指摘の通りと思います。困った問題です。
コメントありがとうございます。
by 筍ENT (2011-06-02 12:22) 

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