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医療と報道 [医療事故]

読売新聞 転院断られ死亡の妊婦、詳細な診療情報がネットに流出

 奈良県大淀町の町立大淀病院で昨年8月、高崎実香さん(当時32歳)が出産時に脳内出血を起こし、19病院に転院受け入れを断られた後、死亡した問題で、高崎さんの診療経過など極めて詳細な個人情報がインターネット上に流出していることがわかった。

 情報は医師専用の掲示板に、関係者らしい人物が書き込んだとみられ、「転載して結構です」としていたため、同じ内容が、医師や弁護士など、かなりの数のブログに転載されている。

 遺族側の石川寛俊弁護士が28日、大阪市内で開かれた産科医療をめぐる市民団体のシンポジウムで明らかにした。石川弁護士は、個人情報保護条例に基づく対処を町に要請した。遺族は条例違反(秘密漏示)などでの刑事告訴も検討している。


そうすると本記事も刑事摘発の対象になるでしょうか。この事件については、多くのblogでも取り上げられているのですが、ここでもその「情報」が消えないうちに転載しておきます。

報道されている内容について

投稿者: 近畿産婦人科学会会員 06/10/18_0000335489
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近県の者ですが、詳細な情報を入手しました。

患者さんは予定日超過で入院し、入院当日からPGE2の内服で分娩誘発されていて、当日の午後に服薬を終了、自然に経過観察していたところ、準夜帯から自然陣発したとのことです。ところが、午前0時頃に突然意識消失のような症状が出現したため、産科当直医が院内の内科当直医に診察を依頼し、内科医の診察を受けました。
内科医が対光反射や一部の神経学的所見を診たところ、意識レベルが低い(痛み刺激には反応あり)ものの他の異常所見が無く、また陣痛発作時には産婦が声を上げて痛がるなどしたため、産科医と内科医で「陣痛発作に伴う失神だろう」と判断したとのことです。この際に「内科医がCT検査を行うことを主張したが産科医が拒んだ」などと報道されてい ますが、両者の間でそんな押し問答のようなやりとりはなかったようです。その時点では血圧は正常で、子宮口も4cm程度開大していたため分娩経過を診ることになり、産科医は当直室に戻ったとのことです。
しかし、その約1時間半後に痙攣発作が生じ、この時点では血圧が180前後まで上昇していたため、産科医が子癇発作と判断し、マグネゾールを静注して奈良医大病院に搬送を依頼ました。ところが、奈良医大の産科病棟が陣痛待機室のベッドまで入院患者が溢れるほど満床であったため受け入れることができず、また、容易に搬送先が見つかりませんで した。大淀病院の産科医の先生はいつでも搬送できるよう、今か今かと「受け入れ先が見つかった」との連絡を待ちわびていたらしく、CT検査ももちろん考えたようですが、( 今、患者を動かして再発作を起こしたら母児ともに危険かもしれない)(CT検査に行っている間に搬送先が見つかったと連絡が来るかもしれない)など考えて躊躇されたようです。苛立つ家族に囲まれ、産科医自身も大阪の高次医療機関に数件電話するなどしたようですが、全て断られたとの事でした。最終的に搬送先が見つかったのは、搬送を申し入れてから二時間余り過ぎた後でした。

聞けば聞くほど悲しい内容です。報道では、かなり産科医を悪辣に糾弾しておりますが、このような経過では同情を禁じ得ません。一番の問題は、受け入れるベッドの絶対数が奈良県では不足していることにあるように思います。刑事事件へと進展しそうな気配ですが、このような例が刑事訴追されることを、我々は容認してはいけないと思います。


権力に対する監視の目という意味では、読売や産経より何となく評価している毎日新聞ですが、このニュースを報じた、毎日新聞の最初のタイトルは「意識不明、6時間“放置” 妊婦転送で奈良18病院、受け入れ拒否 脳内出血死亡」というものでした。
あくまでも大淀病院の医師達を悪者に仕立て、医師バッシングを書き立てる毎日新聞、それに対する反論については、個人情報保護法を持ち出して封じ込めようとする弁護士。医師の怠慢を訴えようとして引っ込みのつかなくなった遺族、そんな図式に見えます。

子癇に続発したと思われる脳内出血、そして受け入れ病院が見つからずに不幸な転帰を取った患者さんには哀悼の意を表するのみです。しかし、現場の医師達はその時点で最大限できることを考え実行していると思われます。

この不幸な事件を契機に、地域の医療連携体制を論じるのは建設的なことです。しかし、誰が悪いんだとばかりに、誰かを槍玉に挙げて非難することは何も改善しません。
怒りや悲しみの感情をどうしようもない遺族の方達自身ならともかく、事実を歪曲してまでお先棒担ぎをするマスコミは考え方を改めて頂きたい。
特に最初に第一報を書いた毎日新聞のこの記事は、社内の賞まで受賞しているとのこと。この記事以降近畿地方の産科医療崩壊が進んでしまったとも聞きます。

報道は何かを壊すことばかり考えず、何かを建設することも念頭に置いてもらいたいと思います。

※ この記事を書いて、暫く時間が経ちました。遺族の方が訴訟を起こし、再びこの婦人科の先生に対する非難を表明するや、マスコミはそれに倣ってこの産科医を、まるで何もせずに患者を放置していたかのような、糾弾する論調になって来ています。またそれに対する反論でもある、このm3.com掲示板にまでその矛先は及び、参加している医師は皆悪者であるかのように書かれています。

真実が明らかになることを望みます。そして遺族の方も、マスコミも、検察・警察も小松秀樹氏の「医療崩壊‥」をぜひ一読して頂きたいと思います。


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国賠所詮税金

捜査資料、地検「死んでも出さない」 鹿児島12人無罪
http://www.asahi.com/national/update/0407/SEB200704060009.html
2007年04月07日09時06分

 12人全員の無罪が確定した03年の鹿児島県議選をめぐる公職選挙法違反事件で、県警と鹿児島地検が04年に公判対策を協議した際、自白したとされる元被告らの供述の矛盾が明らかにわかる捜査資料を公判に提出しないで済むように口裏合わせをしていた疑いが強いことが6日、分かった。捜査資料について検察側が「(資料は)死んでも出さない」と表明すると、県警側が「(裁判に)出たら、(事件が)飛ぶ」と応じていた。捜査関係者は「県警はもちろん、地検もこの時点で『でっちあげ事件』と認識していたはずだ」と言っている。

 口裏合わせのやりとりは、朝日新聞が入手した県警の内部文書「鹿児島地検との協議結果について」に明記されている。文書は、一連の捜査を指揮していた県警捜査2課の警部から上司の捜査2課長にあてたもの。

 それによると、協議は04年11月9日に鹿児島地検4階の小会議室で行われた。警部が公判に証人として出廷する直前で、その際の想定問答などについて打ち合わせるため検事2人と警部や刑事部参事官らが出席した。

 特に問題になったのは、警察が容疑者や参考人の取り調べ時に供述内容の要旨などを書き残しておく「取調小票(こひょう)」の扱いだった。裁判で証拠とされる調書は、小票をもとに供述などを記したものであるケースがほとんどだという。

 起訴事実は、元被告6人の「自白調書」をもとに買収会合は4回だとされていたが、捜査関係者によると、問題の小票には買収会合は「4回」「7回」「10回」のほか、さらに多数回開かれたなどと記録されている。これが公になると、すでに公判に提出していた調書や他の捜査員の証言と矛盾が生じることを当時の県警と地検は恐れていたという。

 検事は小票について「死んでも(法廷に)出さないつもり」「心配なのは、小票が弁護団に漏れていないかどうかだ」「事実関係は調書の方が絶対であると(警部に)証言してもらう」などと発言。これに対し、警部は「小票が出たら、(事件が)飛ぶ」と述べ、県警幹部も「絶対に提出しないという方向性の堅持を」などと検事に依頼した。

 結局、検察側が恐れていた弁護側からの証拠開示請求がなく、小票は公判に提出されなかった。

 文書について県警は「一般的に県警と地検が打ち合わせをすることはあるが、今回の件は分からない」とコメント。地検は「個別の案件には答えない」としている。



真実は、
報道の自由とやらを履き違えてるゴミは言うに及ばず、
警察や検察というものは(冤罪)被害者の訴えを無視したり、事実を歪曲したりして(冤罪)被害者に著しい被害が及んでも

だれも「個人的に」(まともな)責任を問われることはない

ことを税金をとられているだれもが問題視しないから結局自分に返ってくる

ということである。
by 国賠所詮税金 (2007-05-29 18:19) 

konaki

筍ENT先生のところでは、ご覧になれないでしょうが、大阪の朝日放送で、今晩の深夜(日付は明日)の26時51分から「悲鳴病棟 ~「医者を訴える…」夫の決断~」が放送されます。
どんな内容になるでしょうね。
by konaki (2007-05-29 18:48) 

Dr. I

マスコミが圧力をかけて潰したm3の掲示板で、真実が明らかになったのに。
一体、何がやりたいんでしょうかねー。
結果として、奈良南部でお産ができる唯一の病院を潰した、って事をきちんと考えて欲しいです。
by Dr. I (2007-05-29 23:31) 

筍ENT

皆様コメントありがとうございます。

国賠所詮税金さんの、マス「ゴミ」どころか、警察・検察のいい加減な捜査と、冤罪作り、そしてその責を問われることのない現状、腹が立つのを通り越して恐怖を覚えます。
罪を犯した覚えのない人がある日突然、何の関係もない事件の被疑者、被告人とされて、有罪判決が出されてしまう危険がいつもあると考えて、検察・警察を厳重に監視したいものです。

konaki先生にご紹介頂いた番組、朝日系の全国ネットでぜひ後日放送してもらいたいものです。ただ、タイトルからすると、毎日新聞同様医師バッシングに偏ったものになりはしないか、逆に小松秀樹氏の「医療崩壊」を映像化したような内容になるのか。気になります。

Dr.Iさんの仰るように、m3掲示板までやり玉に挙がっています。都合の悪い情報は潰してしまえ、ということでしょうか。まるで医者どもが根拠のない当該医師弁護を書きまくっている、というような論調でした。
ログを取っていなかったのですが、m3の規約に反しなければ、全書き込みをどこかのサイトにぶちまけたかったくらいです。
by 筍ENT (2007-05-29 23:44) 

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